IT好きなら「シリコンバレー」を見ておいて損はないと断言する。

HBOの人気コメディドラマ「シリコンバレー」の新シーズンが、現在Huluで配信中だ。
にもかかわらず、同じくHBOの超人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン7の話題の影に隠れてなのか、いまいち盛り上がっていない感じが個人的にはとても寂しいので、IT業界やスタートアップに興味がある人にぜひおすすめしたい。

おすすめポイント①:シリコンバレーの変遷が、オープニングでわかる!


Silicon Valley: Season 4: Opening Credits (HBO)


10秒の短いオープニングシークエンスの中には、思わずコマ送りで見たくなるほど、実在するIT企業にまつわるネタが盛り込まれている。
配車アプリのUber、Liftのバルーンがぶつかり合っているのはS3からだが、S4では新たに中国の配車アプリDiDiのバルーンが飛んでいる。失墜した血液検査ベンチャーTheranosの看板は落ちかけているし、8秒あたりから登場するのは、自動運転を行っているAlphabet傘下のWaymoとTeslaの車だ。
S1のオープニングを見返すと、倒産したNapsterのバルーンが墜落していて、そんなこともあったなあと懐かしい気持ちになる。


Silicon Valley Season 1: Opening Sequence (HBO)
Silicon Valley Season 3: Opening Credits (HBO)

おすすめポイント②:全方位に喧嘩を売るので最早すがすがしい

炎上リスク回避のため過剰に”気を遣った”表現が増えつつある中、シリコンバレーにはあらゆる差別ネタやブラック・ユーモアが満載だ。例えば1話から「なぜプログラマーは必ず5人組で、痩せた白人、小柄なアジア人、大柄でポニーテールの髭もじゃ、インド人がトレードしたように揃っているんだ?」というメタなセリフが飛び出す。主人公たちの家に同居するチアン・ヤンはカタコト英語の”いわゆる”中国人キャラだが、そこが人気だ。シリコンバレーで流行っているという禅や瞑想を小馬鹿にするネタも出てくる。下ネタ、ドラッグも満載で、徹底的にブラックな要素を盛り込めば、むしろホワイトに近くなるのかもしれないとさえ感じる。

おすすめポイント③:オタクやマイノリティに優しい世界

主人公リチャードは、典型的なGeekで、リア充プログラマー達にはばかにされる存在だが、ITの常識を覆す圧縮アルゴリズムを生み出し、一躍シリコンバレーの注目の的となる。もちろん、すんなり成功してしまうとドラマが終わってしまうのでそこからいろんなトラブルが起きるのだが、普段ばかにされているオタクやマイノリティ達が世界を変える、そんな可能性を見せてくれる。毎話ED曲が変わるのだが、シーズン1の第1話と最終話はGreen Dayの「Minority」で、「お前らの権威なんていらない、大衆のモラルなんて潰せ、マイノリティーになりたいんだ」という歌詞が、このドラマの世界観とすごくマッチしている。


まともな、感動するドラマを求める人には全く刺さらないかもしれないが、上記の要素にちょっとでも何か引っかかりを覚える人には試しに1話だけでも観てほしい。きっと後悔しないはずだから。