BACHELOR JAPANは現代のスタンフォード監獄実験なのかもしれない


最近広告バナーをよく目にする、Amazonプライム・ビデオの「バチェラー・ジャパン」を観てみた。

普段あまりバラエティー番組を見る方ではないのだが、単純にネット上で広告の接触機会が多かったのと、世界的に有名な番組フォーマットであり、それにAmazonがどれだけお金をかけているか、というところで興味が沸いたのが理由かもしれない。

もともと好きなジャンルではないので、すぐに飽きると思っていたが、シーズン1の最後まで視聴が続いたのは意外だった。

BACHELORは、1人の男性を公募で集まった多数の女性が奪い合う形式の恋愛バラエティーだ。

うがった見方かもしれないが、こういう番組に参加する女性は、タレントというか、既に何らか芸能関係の仕事に携わっている人が多く、これを機に知名度をあげたいという目的もあるのだと思う。そもそも23か月撮影で拘束されるそうなので、普通の会社員が参加するのはかなりハードルが高いだろう。

なので、リアリティーショーとはいえ、ある種プロ意識を持って、それぞれが引き立つキャラクターや役割を演じているのではないかと想像される。

とはいえ、回を重ねる毎に、参加女性たちの個性が際立っていき、本気で号泣している(かのように見える)様子を見ると、役割を演じているうちに、もしかしたら役そのものに飲まれていっているのではないか、と感じ、

ああ、これはスタンフォード監獄実験そのものではないか、と気づいたのだ。

スタンフォード監獄実験は、説明するまでもない有名な実験だが、刑務所を舞台に被験者を看守役、受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を演じさせたところ、看守役はより看守らしく、受刑者役はより受刑者らしい行動をとるようになり、理性の歯止めがきかなくなった看守側が暴走し、予定の2週間を待たず6日間で中止されたという心理実験だ。


エピソードを追う毎に、役割に支配されていく大勢の女性たちを、安全なところから観察する。もしかしたらこれは、そういうエンターテインメントなのかもしれない。